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すもも

午前2時30分

スモモのジャム完成。

9時30分から始めてこんな時間までかかってしまった。

皮むきが 大変だ。

なにせ 一人で作業しているので はかどらない。

5キロのスモモをジャムにした さすがに眠い。

そのまま就寝。

朝、目覚めると かみさんが早速いくつかのタッパーに詰め分けていた。

味見をしたらしく 「近年まれに見る 会心の出来。」だと叫んでいる。

寝ぼけた耳にも おいしさが伝わってくる。

東京の高円寺に奄美から出て来たころ。

母親からすももが送られてきた。

200905311140000

スモモは、すぐに過熟してしまうので、傷みも早い。

その日は朝からすもものジャム作りにせいを出していた。

「コンコン」

玄関のドアをたたく音がした。

「どうぞー」

安アパートの木製のドアが開いた。

その当時、私はまだ27歳の初々しい青年だったが (本当だってば)

玄関に立っているNHKの職員もまた、私と同年代の青年だった。

「NHKの受信料をお支払いしていただき・・・・・」

と言いかけて 慌ててドアも閉めずに元来た階段を下りていった。

応対に出た私の異形に恐れをなして逃げたんだと思う。

私の格好といったら 朝からすももの皮を剥いていたので、両手はひじまで、すももの果汁で真っ赤に染まり 白いエプロンも 血のように染まっていた。

そして、片手に赤い汁が滴り落ちている包丁を握り締めたまま戸口に出たものだから、彼はきっと殺されると思ったに違いない。

客観的に見ると、人を殺して 流しでバラバラに解体しているのを見つかってしまった殺人犯の様ないでたちだった。

それ以来、高円寺に住んでいる間というもの、 受信料の集金に、終ぞ、誰も来ることはなかった。

磯者

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