2月20日
今日は、この建物の特徴でもある、地下室設置工事。
皆さんは地下室と聞くとどんな構造を思い浮かべますか?
殆どの方は、分厚いコンクリートで囲まれた地下室をイメージすると思います。
この武田邸の地下室は、ものすごく変わっていて、鉄骨なのです。
私が建築の世界に入った頃から、是非採用してみたいと考えていました。
私は、あまりコンクリートの地下室を信用していません。
と、言うのは、都心に建つ超高層ビルの地下室に入ったことのある人はわかると思うのですが、大げさに表現すると、建物の地下には滝が流れています。
それぐらいに、水が建物の中に進入しているのです。
このように書くと、全く水の浸入しないコンクリートの地下室もあると反論されるかも知れませんが、私はそのような建物に出会った事がありません。
地下室を作る場合、水密性の高い高強度のコンクリートを用いてなるべく打ち継ぎを設うけないように作ります。それでもやがて、水は容赦なく進入してきます。
一度入ってきた水を建物の中から防水するのは不可能に近いことなのです。
コンクリートの地下室を計画する場合、水が進入するのはある程度仕方がないとの前提に立って計画します。
たとえば、壁を二重に作り、壁と壁の間に排水路を設け、溜まった水を強制的にポンプアップして、外に汲み出します。
この頃の大規模な建物の地下は二重壁にすることさえしません。
それは、もれている箇所を把握するためにわざと水が見えるようにし、メンテナンスをしやすくするためです。
今回用いた地下室の工法は、H型鋼に厚さ5ミリの鉄板を完全溶接したパネルどうしをボルトで締め付けて組み立てる方法です。
鉄板と鉄骨の地下室こそ水が浸入しやすいと思われるかも知れませんが、海に浮かぶ船を思い起こしてみてください。
どうですか?
船は分厚い鉄板を溶接して出来ていますが、水は浸入してきませんよね。
これと同じ事を地下室にも利用しているのです。
しかしながら、悲しいことに船のように一体で作ると、大きすぎて運搬することが出来ません。
そこで、トラックで運べる大きさのパネルで作り、それを現場で組み立てると言う方法がとられます。
接合部分は、プチルゴムでパッキンし、それを規定のトルクで締め付けます。
そうすると完全に防水されます。
その地下室の今日は設置工事。
朝7時 現場に着くと、すでに地下室メーカーの「スリーユー」さんは現場に到着していた。
材料も8.5トントラックに載って現場で待機中。
ナンバーを見ると静岡ナンバー。
運転手さんに何時に静岡を出たのか聞くと、夜中の12時に出て、朝6時に現場到着したと話してくれた。
宮地も7時にきて一緒に地下の位置出しをする約束になっていたが、まだ到着していない。
早速、敷地を囲っているシートを外して、工事の準備に取り掛かる。
現場を見ると、スタイルフォーム(写真に見える青い板)が、まだ完全に設置されていなかったので、これの加工をすることにした。
宮地から、携帯に連絡が入った。
「今、高速に乗っている、到着時間は未定。」とのこと、何でも昨夜、お客さんと飲んで、寝過ごしたとのことだった。 この借りは高くつくぞー。
現場にクラウンが停まった。
車からで出て来たのは「スリーユー」の社長さんだ。
作業服を着ている。
こういう姿を見るとうれしくなる。
打ち合わせでは社長はいつもスーツ姿だったので、ちょっと驚いた。
普通、社長は作業はしないものだが、やる気マンマンの戦闘モードに入っているではないか。 頼もしい。
私も、現場に入ると、よく職人さんから「電気屋さん?」とか、「土工さん?」とか建築士に見られたことは一度も無い。自分から、職業を明かすことはまずしない。 そのほうが職人さんたちの言いたい放題を聞けるので、面白い。
いろんな建築現場を渡り歩いたが、一番ひどいのは 「インテリアコーディネーター」と呼ばれる職業のおねえさんたちの姿だった。
現場にタイトなスーツで現れ、まあスーツまでは許すとしよう。
現場で汚れて損をするのは彼女たちだし。
しかし、許せないのは、彼女たちの履物だ。
「こいつ なに考えてんじゃーー !!」と叫びたくなるような ピンヒールでお出ましになることがある。
確かに、ロープやムチになりそうなもの、刺したらちくちくと痛いだろうと思われる物には現場では事欠かないが、ピンヒールはねぇだろう。
第一危ない。そして、仕上がったものを傷つける恐れがある。
ただでさえ、現場は女っ気が少ないところだ。そこへきて、短いスカートで来られた日にゃ、見惚れた職人さんたちが足場から落ちることだってあり得る。
そういう「インテリアコーディネーター」は現場では、嘲笑の意味を込めて、「インテリアコーデネーチャン」と呼ばれている。
そのネーチャンに比べて今日の社長はかっこいい。やっぱり現場の人間、こうでなくっちゃ。
宮地がまだこないので、社長と二人で、墨を出す。
対角線を測ったら1ミリの違いだった。 GOOD !!
さあ、いよいよ本番。
トラックから床の部分のパネルを釣り上げ墨を基準に、敷き詰めていく。

次は壁になるパネル。
そして、いよいよ、天井のパネル
後は、換気のパイプを通す天井に穴を空ける。
穴を開けた部分に同じ径のパイプを溶接する
そして ボルトを締め付けて組み立て完了。
後日 地下室とスタイロフォームの間にコンクリートを流し込みとりあえず地下室本体は完成する。
この地下室は本当に、工期が短い。 しかも、コンクリートの地下室だと、通常、坪単価100~180万円位するのだが、内装も含めて、約80万円ぐらいとリーズナブルなのだ。
私が地下室を勧めるのは、地下室は建築基準法ですごく優遇されていて、たとえば、解りやすくする為に、敷地に1階と2階の合計で100坪の家が建てられるとして、3階建てにすると、各階数とも約33.3坪になり、合計で100坪を超えることは出来ないのだが、これが地下室だと、1階50坪、2階50坪、地下50坪の 合計150坪も建てる事が出来る。
ねっ、お徳でしょ。
仮に、防音室を地上階に作ると6畳で約200万~300万かかるが、地下にすることで防音の問題はなくなる、どんなにSMプレーで大声を出そうが、夜中にピアノを弾こうがお構い無しの環境が得られるのだ。
こんないいこと尽くめの地下室を作らない手は無い。
これからも、私の設計は外断熱と、地下室を提案していきます。
今回の武田邸の地下室の詳細は下記のホームページを参考にしてください。
http://www.3-u.jp/
磯者
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